EVIDENCE研究結果

最新研究結果:
キャンディが短期的に
唾液中の「IgA」濃度を上げることを確認

唾液中に含まれる免疫物質IgAについて、安静時、キャンディを摂取した前後の分泌濃度を測定しました。
その結果キャンディを摂取した後には、安静時と比較して、短期間でIgA分泌濃度が高まることがわかりました。
また一般的なキャンディと比較すると、アロマ成分複合体(DOMAC)を含むキャンディにおいて、さらにIgA分泌濃度が高まることがわかりました。

IgA濃度平均変化率

【試験概要】

目 的 キャンディ摂取前後のIgA濃度測定(摂取前後の変化率を測定 測定機器「キューブリーダー」英国SOMA社)

試験食品 ①アロマ成分複合体(DOMAC)を含むキャンディ②一般的なキャンディ(無香料・無着色)③何も摂取しない
試験順は、上記試験食品摂取①②③をランダムに行う(クロスオーバー3群)

試験対象者 20~40代男性 20名

試験条件 試験前日は激しい運動や飲酒を控える
当日は刺激物(例「辛い物」「酸っぱい物」「メントール系の食品」など)の摂取を控える
試験開始2時間前に食事を済ませ、それ以降、水以外は禁飲食、禁煙にして、なるべく安静に過ごす
試験中はイス等に座ったままで、安静時間には読書などで過ごす

測定タイミング 開始2分前、及び①、②または③実施(5分間)後10秒

試験日程 2020年 9/9(水)、9/11(金)、9/12(土)

研究実施者 オーラルウェルネス推進委員会

検証結果(上田貴之先生のコメント)

現代は、不規則な生活習慣やストレス過多などが原因でドライマウスが急増するなど、”唾液不足の時代“といえます。唾液不足の状態では、唾液に含まれる免疫物質「IgA」の量が低下していると考えられます。「IgA」には細菌やウイルスが人体へ侵入するのを防ぐ役割があるため、唾液中の「IgA」の分泌量を増やし、その濃度を高めることは、「口」における感染の水際対策になると考えられます。

今回の試験でキャンディを摂取すると、唾液内のIgA分泌濃度を短期的に高められることがわかりました。さらに、アロマ成分複合体(DOMAC)成分を含むキャンディでは、より高いIgA分泌促進効果があるという結果が得られました。
キャンディは、場所やタイミングを選ばず、かつ手軽に摂取できます。人混みや対面会議など、気になるシチュエーションでマスクに加えて予防ができる可能性があるでしょう。

上田 貴之 先生

東京歯科大学 老年歯科補綴学講座 教授

東京歯科大学院卒。専門分野は歯科補綴学 老年歯科医学。
口腔機能低下症やオーラルフレイルに関する研究、情報発信を行っている。
日本老年歯科医学会常任理事、日本補綴歯科学会代議員などを務める。

最新研究結果:
アロマ成分複合体(DOMAC)による
セリンプロテアーゼ活性抑制

おもに上気道感染症(鼻~喉に急性の炎症症状(いわゆる風邪、咽頭炎・喉頭炎、インフルエンザ)を呈する) でウイルスが身体に侵入するのを助ける“ウイルス活性酵素”「セリンプロテアーゼ*」に焦点をあてました。

抗炎症作用成分が含まれるキャンディを用いて、活性抑制効果を調べました。

その結果、アロマ成分複合体(DOMAC)に、セリンプロテアーゼの活性を抑制する作用があることを見出しました。

*このプロテアーゼは、ウイルス表面のタンパク質を部分的に分解し、粘膜細胞の受容体に結合できるようにする酵素です。

①セリンプロテアーゼ トリプシンを用いた試験①セリンプロテアーゼ トリプシンを用いた試験
②セリンプロテアーゼ プロテイナーゼKを用いた試験②セリンプロテアーゼ プロテイナーゼKを用いた試験

【試験概要】

目 的 セリンプロテアーゼ①トリプシン②プロテイナーゼKの活性抑制(直径の計測により測定)

試験食品 (1)プラセボ
抗炎症作用成分を含む以下2つのキャンディ
(2)アロマ複合成分DOMACを含むキャンディ(3)のど飴

試験方法 セリンプロテアーゼ①トリプシン②プロテイナーゼK それぞれと共に食品溶液をろ紙に添加する
白濁たんぱく質を入れた寒天に乗せ、37℃のインキュベーター内で保管
(プロテアーゼが働き、寒天中のたんぱく質を分解すると透明になる)

計測方法 ろ紙の回りの透明ゾーンの直径(ピンク線部分)を計測。直径が小さいほど、活性を抑制している

試験時間 ①トリプシン:2~14時間 ②プロテイナーゼK:2~20時間

試験日程 2020年 10月20日(火)~10月21日(水)

検証結果(安部茂先生のコメント)

口や喉などウイルス感染の「水際」となる場所でセリンプロテアーゼの活性を抑制することがポイントです。口に入るもの、特に場所やタイミングを選ばず、一定時間口に留まるキャンディに着目して検証を行いました。検証には上気道感染の症状を抑制すると期待される、抗炎症作用成分を含む2種類のキャンディ(のど飴、アロマ成分複合体(DOMAC)を含むキャンディ)を用いました。その結果、アロマ成分複合体(DOMAC)に、2種類のセリンプロテアーゼの活性を抑制する作用があることがわかりました。抗炎症作用成分である、オリゴノールやシナモン、シトラールが寄与していると推測されます。

セリンプロテアーゼは舌や咽頭に多く存在する、という報告もあることから、舌と感染症が関係する可能性もあります。今後さらに研究を進めていきたいと思います。

安部 茂 先生

帝京大学 医真菌研究センター 客員教授

東京大学薬学系大学院卒。専門分野は医真菌学・微生物学。帝京大学医真菌研究センター所長、日本医真菌学会理事など歴任。現在は、口腔、咽頭、消化管の粘膜からの微生物感染と防御について研究。基礎研究だけでなく、食習慣の改善・工夫を介した感染予防・治療法の開発を目指している。

キャンディに新たな可能性

キャンディでは唾液中の免疫物質「IgA」の分泌濃度が短期間で高まることがわかりました。アロマ成分複合体(DOMAC)ではさらにその濃度が高まったほか、上気道感染でウイルスが体内に侵入するのを助ける、セリンプロテアーゼの活性を抑制する作用を確認しました。キャンディのように、場所を選ばず、かつ一定時間口に含めるものであれば、人混みや空気の乾燥が気になる際の対策として有効な手段の一つとなりうる可能性があります。

【参考】アロマ成分複合体(DOMACとは)【参考】アロマ成分複合体(DOMACとは)