MEASURES感染の水際対策

唾液には、
免疫物質「IgA」が存在している

唾液には、口の中を洗浄する働きと、免疫力を高める力があります。唾液の99%は水分ですが、残り1%に100種類以上の成分が含まれ、その中には免疫効果のある抗菌物質や抗体が存在しています。特に重要なのが、細菌やウイルスから身体を守る抗体、IgA(免疫グロブリンA)です。 洗浄・免疫力を高める働きを機能させるために、唾液の量と質を維持しましょう。高い免疫力を発揮させるためには、IgA濃度を高く保つことが大切です。IgA濃度が高いとウイルスなどの働きは抑制されて感染しにくく、低くなると感染しやすいことは、よく知られています。

「IgA」が病原菌の体内侵入を防ぐ!

IgAは、身体にとって敵になるような異物を排除する抗体の一種です。唾液中にある免疫物質の中で最も多く、常に唾液腺から一定量が分泌されています。口は外界に接する大きな粘膜で異物の侵入口になりやすいため、特に高い免疫力が求められるところ。そこで活躍するのがIgAです。

病原体などの異物が口の中に入ると、粘膜に付着しないように複数のIgAがくっついて取り囲み、唾液がそれらを洗い流します。このようにして異物が体内の器官へと入り込まないようにすることで、病気の発症や重症化から身体を守るのです。

また、口内のIgAは、身体の免疫の6割を担うといわれる腸の環境と相関関係にあります。唾液中のIgAは、口内で細菌やウイルスを除去して悪玉菌の腸内への侵入を防ぎ、腸内フローラのバランスを保つことに寄与します。腸内フローラのバランスが良いと腸から産生される免疫物質の質が良くなり、口内のIgAの質も向上するというわけです。

唾液中の「IgA」濃度を高めて、
感染の水際対策を

水際で細菌やウイルスの侵入をくい止めて、身体の中に入れないようにするために、まずは口の中を清潔にすることが必須です。口内が汚れていては、敵となる異物が多過ぎて、IgAが防御しきれません。次に、唾液中のIgA分泌量を増やしてIgA濃度を上げて、唾液の質を高めましょう。ストレッチなどの軽い運動や栄養バランスの良い食事、規則正しい生活を心がけることで、IgA分泌量を増やすことができます。また、耳の下のエラのあたりに指3本を当てて、力を入れずにゆっくりと円を描く、耳下腺マッサージでIgA分泌が促進されます。2分程度続けて行うのが良いでしょう。手軽な方法では、アメやタブレットもおすすめです。場所やタイミングを選ばずIgAの分泌を促すことができます。